2022.02.09 KDRI 2月例会が開催されました。
まん延防止等重点措置 の時期であることから、今回は Zoom による例会開催となりました。
今月は 前座発表 として 笛木 が、そして メイン発表 として 日本歯周病学会 専門医 森デンタルクリニック 森 公祐 先生が担当致しました。
笛木 からは、『 仮封冠による咬合確保の実際 』について 症例提示を行いました。
歯科医療において その結果が良好であるかを判断するために、すぐにはセラミック等の歯を入れずに 数か月程度の経過観察(けいかかんさつ:しばらく様子をみること)をすることがあります。
その間は 仮封冠(かふうかん:仮歯のこと)を装着することが本来です。
しかし 仮封冠を全く装着せず そのまま放置していたり、やわらかい材料だけで仮封冠を製作する歯科医院もあります。
こうなると 時に かみ合わせがくるってしまい、めまい などの症状(不定愁訴:ふていしゅうそ)が出てしまうこともあります。
そのようになってしまうことを防ぐために、咬合面(こうごうめん:歯のかみ合う面)を臼歯部用コンポジットレジンにおき替えた仮封冠作成の手順について 症例提示をしました。
今月のメイン発表は 森 先生 が『 根面被覆術(こんめんひふくじゅつ) 成功に導くために 』という演題で 症例発表を行いました。
本来 歯肉に包まれている歯根(しこん:歯の根の部分)が、何らかの理由によって外界に露出してしまうことがあります。(歯根露出:しこんろしゅつ と言います)
今回は、歯根露出に対して 歯肉形成術の1つである『 根面被覆術 』で対応した症例報告でした。
症例①:明らかな歯根露出が見られる
症例②:歯根はあまり露出していないが、患者本人が改善を強く希望した。
KDRI 北関東歯科臨床研究会のHP にも表記していますが
①:規格性の優れた口腔内写真やデンタルエックス線写真等の基礎資料を採得できること(何がおきているのか?)
②:基礎資料をもとに、炎症と力の問題における原因を 生活習慣の中から包括的に診断し、これを排除できること(なぜ その問題が生じたのか?)
③:的確な診断をもとに治療計画を立案できること(では、どうすればよいのか?)
④:これらの3要素をもとに、1本単位の基本的な歯科臨床技術を的確に施術できること(一つひとつの基本を守れるか?)
この4つ、特に②の『 なぜ そうなったのか? 』を追究することが、非常に重要になってきます。
『 なぜ そうなったのか? 』すなわち『 原因の排除 』をとばして施術を行えば、再発の危険性が高まってしまうことになります。
我々がめざす『 包括歯科臨床 』とは全く異なる『 包括 ”的” 歯科医療 』といわれる概念があります。
『 包括 ”的” 歯科 』と称される歯科医療の多くが、この『 なぜ そうなったのか? 』を追究することなく、後先の事を考えずに、露出した歯根を『 どうすれば覆えるのか 』ということ ”だけ” に飛びついてしまっている現状があります。
森 先生は 今回の発表でも『 なぜ そうなったのか? 』についても解説され、それをふまえて
・『 患者さんに協力いただけること、できないこと 』 ⇒ 矯正治療、丁寧な歯磨き、かみ合わせ調整の受諾
・『 その場合のメリット・デメリット 』 ⇒ 再発(新たな歯根露出)してしまう可能性
などを、個別の案件として対応されていました。
各症例の術前・術後の比較です。
症例① の術前・術後(治癒後)
症例② の術前・術後(施術直後)
このムダの無い仕上がりから『 基本技術をマスターしたうえでの 歯肉形成術 』であることが、この症例写真からも伝わってきます。
毎月第2水曜日 19:30~ 例会を行っています。
私たちは志を共にできる仲間を募集しています。
また、準会員として例会参加(症例発表は任意)することも可能です。
当会の臨床への取り組みや、雰囲気を感じ取るには良いかと思います。
※入会希望の方は
森 デンタルクリニック 027-289-5656 まで ご連絡ください。
文責:万代総合歯科診療所 笛木 貴