今月のコラムは歯科用CTについてのお話です。
二次元のレントゲンと同じく、CTもX線を用いて体内の情報を映像化します。
しかし、CTで得られる情報量は通常のレントゲンとは比べ物になりません。
通常のレントゲンは、X線源からフィルム(センサー)までの間に存在するものが全て映り込む
ことになりますが、CTではコンピューターを駆使したデータ処理と画像の再構成により、
断層写真を得ることができます。
では、どのような時にCT撮影が必要なのでしょうか。いくつか例を挙げて説明します。
まず、親知らずなど、奥歯の抜歯を検討する時などです。上の奥歯の根の近くには上顎洞とよばれる
副鼻腔があります。また、下の奥歯の根の近くには、太い血管と神経が通っています。抜歯の際には
これらを傷つけるおそれがあるので、抜歯の前に歯との距離を知っておく必要があります。
インプラントの手術においても、抜歯と同様にこれら重要な部分を傷つける恐れがあるため、
CTによる評価が役立ちます。更に最近では、これらの部分を傷つけない位置にインプラントを確実
に埋入するための器具をあらかじめ作っておくという方法も可能になっています。
その他、難しい根の治療(感染根管治療)においての診断や、歯周病による骨の喪失など
様々な状況で役立つCTですが、X線被爆をともなうためむやみに撮影するべきではありません。
まずは通常のX線をしっかり読影し、最大限の情報を得るよう努めることが重要と考えます。