高崎市あおぞら歯科クリニック勤務の中村高道です。
4月24日にCISJ(日本インプラント臨床研究会)の第一回定例研修会に参加しました。
午前の部は会員発表と全顎治療シンポジウムが行われ、北関東歯科臨床研究会から当院院長の岡田崇之先生が「矯正とインプラントを併用した一症例」、高崎市高井歯科クリニックの高井貞浩先生がシンポジストとして「全顎的インプラント治療の経験から、インプラント治療における抜歯基準を考える」というテーマで発表を行いました。
午後の部は東京都港区赤坂の寺西歯科医院院長、寺西邦彦先生より「『Osseointegrated implant 27年間の推移と現状』多数歯欠損症例におけるインプラント上部構造選択のガイドライン」というテーマで特別講演が行われました。
多数歯欠損症例では、少数の残存歯も様々な問題を抱えている場合が少なくありません(対合歯の欠損による歯の挺出、臼歯の喪失による前歯部のフレアアウト、欠損部への歯の傾斜、咬合平面の乱れ等)。そのためより一層高い診査・診断力が要求されます。
診査診断の第一歩として、今回も多くの先生が触れた「抜歯基準」があります。多数歯欠損症例では抜歯基準を個々の歯の状態だけでは決定できず、治療の完成をイメージしてその残存歯が治療後の歯列と調和するのかを慎重に検討する必要があります。調和していない歯を保存するのであれば、矯正治療等も検討し、歯の移動も見越したインプラントの埋入ポジション等を考えなければいけないですし、調和を取り戻すのが不可能であれば、個々の歯として保存可能であっても、残念ながらその歯は保存不可能となってしまいます。「抜歯基準」は、治療計画における最初にして大きな難関と言えます。
今回の定例研修会は、インプラント術式だけにとどまらず、治療の基本である「診査・診断・計画」の重要さを改めて認識するとても良い機会になりました。